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クレジットカード「3億枚市場」は嘘 - なぜ大幅水増しが続いたのか

日本クレジット協会は2014年末、クレジットカード保有枚数に関する統計数値を大幅に下方修正した。クレジットカードの利用額や発行枚数などの過去10年分(平成15年~24年)に渡る数値の訂正をホームページ上にひっそりと掲載した。

訂正前と訂正後の数値を比較すると、例えば、平成24年のカード利用額は53兆2541億円から40兆6863億円に修正され、平成25年3月末時点における発行枚数も3億2352万枚から2億5979万枚へといずれも大きく減少した。 発行枚数については微増傾向とされていたのが、実際には3年連続で前年割れしていたことが明るみに出るなど、統計数値への信頼性が大きく揺らいでいる。

同協会が発表する統計数値はクレジットカード業界だけでなく、官公庁、大学などの研究機関においても利用がすすめられていたこともあり、その重要性は極めて高い。

この統計訂正によって消費者やクレジットカード会社に実害は発生しておらず、その影響は比較的軽微といえる。とはいえ、クレジットカード決済は政府の成長戦略の一つに数えられており、根拠のない統計数値が業界全体で黙殺されてきた事実は重く受け止める必要があるだろう。

政府は2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催を視野に入れた上で、訪日外国人の増加を念頭に置いた海外発行のクレジットカード等の利便性向上策などの環境整備をすすめている。また金融庁が決済システムの高度化のための規制緩和策などの議論を本格化している。

その一方、電子マネーや「おサイフケータイ」など決済機能が内蔵された携帯電話の普及に伴って、クレジットカードだけを論じることにどこまで意味があるのかにも疑問がある。重要な社会インフラである決済システム全体を視野に入れつつ、その一部であるクレジットカードが特段、比較検討されることもなく、あたかも「クレジットカードがおすすめの決済手段 であるかのごとく扱われてきたことに疑問を投じている。

記事画像 日本クレジット協会が昨年の仕事納めの日に〝ひっそり〟ホームページ上にアップした統計の訂正文(出典:産経新聞)

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